太陽光発電システムの発電量は、設置面積や天気が重要!

太陽光発電システムを導入した場合の発電量について、発電量を算出する計算式や、発電量に関係のある太陽電池モジュールの設置枚数や、性能、天気や季節などの要素を解説します。

太陽光発電システムの発電量とは?

発電する太陽光発電システムのイメージ

太陽光発電システムの発電量とは、太陽光発電で作ることができる電気の量です。日本での予想発電量の平均は1,140kWhとされていますが、実際は設置する環境や天気、太陽電池モジュールの性能などによって変化します。この個々の環境によって変化する実際の発電量のことを「実発電量」と呼んでいます。

kWhってなに?kWとの違い

kWhは「キロワットアワー」または「キロワット時」と読み、一般的には1時間あたりの消費電力(kW)を表しています。一般的なkWhは消費電力(kW)×時間(h)で求めることができます。

ところが、太陽光発電システムにおけるkWとkWhは少し意味が異なります。太陽光発電システムにおけるkWとは発電能力(出力)を表し、kWhは太陽光発電システムの発電量を表しています。

そして、kWh(発電量)は単純に1kWの発電能力をもつ太陽光発電システムを1時間発電させた値ではなく、さまざまな損失係数(ロス)が間に入り、導き出されます。

年間発電量を算出する計算式

太陽光発電システムのkWh(発電量)は、以下の計算式で導き出すことができます。

システムの容量は、太陽光発電システムの発電性能のことで、一般家庭用で3~5kW、産業・事業用で10~300kW程度が多いと言われています。

日射量は太陽から届くエネルギーの量を表しており、天候や季節によって日々変化しています。

損失係数については、更に以下の計算式で求めることができます。

まずパワーコンディショナーの変換効率ですが、こちらの値はメーカーごとに異なります。しかし、ほとんどが95%以上の高い数値を実現しているため、変換効率で違いが出るとしても数%です。

次に気温ですが、気温は損失係数において、もっとも重要な要素と言っても過言ではありません。実際、日射量の多い沖縄でも、気温が高いせいでロスが発生し、そこまで高い発電量を記録できていないのです。このことから分かるように、気温が高い地域では損失係数(ロス)が高くなることが懸念されます。

最後にその他の要素ですが、こちらはこの後の項目で詳しくご説明させていただきます。

太陽光発電システムの発電量(損失)を決める要素

ここでは、前の項目でご紹介した発電量を決める要素や、損失係数の要素についてご紹介します。

次の項目から、損失係数の各要素について、詳しく解説していきます。

設置する太陽電池モジュールの枚数で変わる発電量

発電量は、設置する太陽電池モジュールの枚数によって大きく左右されます。太陽電池モジュールの設置枚数が多ければ、それだけ発電量は大きくなります。

太陽電池モジュールの変換効率性能で変わる発電量

太陽電池モジュールの変換効率とは、太陽から取り込んだ光エネルギーを、どれだけ電気に変換することができるか、を表した数値です。現在の太陽電池モジュールでは、15%程度が最低で、20%程度が最高となっています。

パワーコンディショナーの変換効率性能で変わる発電量

パワーコンディショナーの変換効率はメーカーごとに異なりますが、どのメーカーも95~98%程度の高い数値を記録しています。そのため、パワーコンディショナーの変換効率が発電量に与える影響はそこまで大きくはないでしょう。

太陽電池モジュールを設置する方角や角度で変わる発電量

太陽電池モジュールを設置する方角や角度でも、太陽光発電システムの発電量は変化します。

太陽電池モジュールを設置する最適な方角は南

太陽電池モジュールを設置するベストな方角は真南とされています。また、もっとも避けたいのが北で、真南の発電量を100%とした場合、北は約65%になってしまいます。(設置する地域によって異なります)そのため、太陽光発電システムを設置する際には、土地の形状など条件が揃うようであれば、是非とも真南に向けて設置しましょう。

太陽電池モジュールを設置する最適な角度は20~30度

太陽電池モジュールの傾斜角は0~40度の範囲で設置が可能ですが、もっとも発電に適している角度は傾斜角20~30度とされています。角度によって変わる発電量は、最大で10%と言われていますので、設置する際の角度には注意しましょう。

天気で変わる発電量

天候によって発電量が変化するイメージ

太陽光発電システムの発電量は、天気・天候の影響も受けます。晴れの日の発電量がもっとも多く、次いで曇りの日、雨の日と下がっていきます。

曇りの日、雨の日の発電量

太陽光には、晴れの日に太陽から直接とどく「直達日射」と、曇りの日にとどく「散乱日射」の2種類があります。

晴れの日の「直達日射」の発電量を100%とするならば、曇りの日の「散乱日射」の発電量は50%~90%ダウンしてしまいます。雨の日に至っては、晴れの日に比べて75%~95%も発電量が低下してしまいます。

また、曇りの日や雨の日だけでなく、晴れの日にも太陽電池モジュールに影がかかってしまうと、発電量が低下してしまうので注意しましょう。また、影が太陽電池モジュールの一部にかかるだけだとしても、全体の発電に影響を及ぼしてしまいます。太陽光発電を設置するときは、周囲に影になる木などがないかチェックしましょう。

また、太陽電池モジュールについた「汚れ」も、影と同じように発電量を低下させてしまう場合があります。パネルの一部が汚れているだけでも、全体の発電量に影響してしまうため、太陽電池モジュールが汚れていないかどうかチェックするのは大切な作業です。

季節(気温や気候)で変わる発電量

太陽光発電システムの発電量は、季節にともなう気温や気候にも左右されます。

発電効率が低下するのは真夏の炎天下

発電量を導き出す際の損失係数(ロス)の要素でもご紹介しましたが、気温は太陽光発電の発電量にとって重要なロス要素です。特に真夏の炎天下では、太陽光発電システムの発電能力は7.4%~20%のロスが発生してしまいます。1年のうちでもっともロスが少ないのは春や秋で、4.6%~15%です。

太陽光発電システムを設置する地域で変わる発電量

太陽光発電システムの発電量は、設置する地域によっても変化します。その理由は、日射量と気温にあります。気温は地域ごとに異なるため、太陽光発電の発電量にも違いが生じます。

日本全国の年間日射量目安

日本全国で1番発電量が多いとされているのは山梨県や長野県などの甲信越地方です。沖縄などの日光がきつい地域は、気温も高いため、パネルの温度が上昇し発電効率が落ちる可能性があります。

太陽光発電システムの発電量まとめ

太陽光発電システムの発電量は、電気を作った量のことで、太陽電池モジュールの性能や日射量、損失係数(ロス)を発生させる様々な要素によって決まることがわかりました。

発電量をロスさせる要素には、パワーコンディショナーの変換効率や気温、太陽光電池モジュールを設置する角度や方角、天気が関係していました。

太陽光発電システムを設置して発電量を多く確保したい場合には、設置する太陽電池モジュールの性能や枚数だけではなく、設置する地域や方角、周囲の障害物なども考慮する必要があるでしょう。

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